ちょっといい時計とオールドマネー。

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2026/9/10

Category

Fashion

Writer

Natsuki Hamada

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ちょっといい時計...

ちょっといい時計とオールドマネー。

 ボーイミーツガール。ちょっといい時計をして出かけよう。

 クラスで人気者だったあいつにも、一人が好きな僕らにも、いざというときは必ず来る。そしてそんな日には、ちょっといい時計を身に着けたいものだ。もちろん爪の手入れも忘れずに。

 せっかくのデートなんだから、ちゃんと着飾りたい。クローゼットにて長らく温めておいた、70'sの「カルバンクライン」のダブルジャケットを出して、履きなれたローファーも今一度きれいにしておく。

 そして最後に腕時計だ。まるでこの日を待っていたかのようにこちらを見ているのが一本あるだろう。腕に通したばかりの時は冷たかったこいつも、出かける頃にはもう自分の体温になじんでいる。

 鏡の前で何度も袖をまくり、時計がちゃんと見えているか確認しているうちに、最近よく聞く「オールドマネー」という言葉が少し気になってきた。

 最近そんなスタイルが流行っているらしいが、せっかくなら少し知っておいた方がかっこよくエスコートできそうな気がする。

オールドマネーは「ギャツビー」に学びたい。

 最近流行の「オールドマネー」。どうやら元をたどれば、ファッション用語ではないらしい。「昨日今日で金持ちになった人ではなく、数世代にわたって富を受け継いできた人たち」を指す言葉とのこと。なるほど、僕らからすればだいぶ遠い世界の話である。

 そういえば『グレート・ギャツビー』という小説にも、離れ離れになった上流階級の元恋人「デイジー」と再び結ばれるために、努力して築いた莫大な財をアピールする男が出てくる。映画版ではディカプリオが演じている「ギャツビー」という貧しい出自の男だ。

 しかし二人が結ばれることなかった。戦争を期に「ギャツビー」と離れたあと、同じく上流階級の男「トム」とすでに結婚していた「デイジー」は、二人の間に挟まれ決断ができず、最終的に「トム」とともにその後を歩むことを選択する。そしてギャツビーは、1920年代のアメリカンドリーム終焉を象徴するような、悲劇的な死を遂げ物語は幕を閉じる。

 ギャツビーは、上流階級の上辺の美しさを真似たところで意味はないと教えてくれたわけだ。彼に敬意を表し、僕らはもう少し慎重に、「オールドマネー」のかっこよさがどこにあるのかを見極めたい。

 一つ考えられるのは、いいものを身に着けても誇示しない姿勢だ。彼らからすれば、いい服を着ることも、いい店へ行くことも、それほど特別なイベントではない。時計だってそうだろう。「今日はデートだから」と前日の夜に箱から取り出して、鏡の前で何度も腕を確認するようなものじゃない。

 我々からすれば一張羅級の身なりも誇示しない余裕を拝借できれば、意中のあの子の前で着飾っていたとしても、浮つかずに堂々とできるというわけだ。かっこいい大人は、良いものを身に着けていても見せびらかさないものだからね。

さて、どんな時計をつけよう。

 小ぶりなケースがシャツの袖にすっと収まる、1973年製のロレックス「オイスターデイト プレシジョン」。一目見ただけではロレックスだとわからないのもなんだか渋い。

 大事なのは二人が楽しんで過ごせること。いい時計こそさりげなく身に着けておくほうが、こっぱずかしいエスコートも、堂々とできそうな気がする。

 カルティエの「タンク」に代表される角形時計は、丸い時計とは少し違った緊張感を腕元に与えてくれる。普段はステンレスブレスレットの腕時計を身に着け仕事に汗を流す僕らも、デートの日には革のブレスレットで気合を入れてみるのも悪くない。

 通常の時刻表示に加えて、ストップウォッチ機能を搭載した「クロノグラフ」。なんとこのモデルは、1/100秒まで計測できるとか。黒い文字盤に細かな目盛り、いくつもの針。少しメカっぽいくらいなのも、かえって男らしくていい。

時計を選んだら、あとは忘れよう。

 僕らが「オールドマネー」から学んだのは、「良いもの」を誇示しない姿勢だ。

 オールドスポート。時計を選んで腕に通した後は、そのことなんか忘れて、向かいにいるあの子との会話を楽しもう。

小説『グレート・ギャツビー』とEmporio Armaniの腕時計

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編集者

Natsuki Hamada
煙草とカルチャーとお家を愛する引き籠りディレクター。

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